よっぱらいはかんがえる

よっぱらいはかんがえる

つくえには缶のビール

ディスプレイにははじける水玉

エゴラッピンの歌声と
暗闇と
ほろよい気分に身をゆだね

あのこのことをかんがえる


にほんのまんなかから

ずいぶんはしのほうに住む

あのこのことをかんがえる


25の誕生日の次の日に

祝ってくれたあのこをおもいだし

口の端ゆるめるよっぱらいは


あのこが電話にでるのをまって

ヘッドセットを耳に

次の一口を飲み込むのだ


いまこの瞬間の

じれったい幸福に

ゆたりのたり

みをまかせるのだ


いま せかいには

あのこと

スピーカの歌声

それ以外

だれもおらず


宇宙に浮かぶ彼は

よりらると

うきしずみ

ゆたいうたい

のみこむのだ


あしが上へ

うしろへ


24の誕生日に

あのこが教えてくれた

絵本を開き

声を出してよむのである


つきよにうかぶ
ぼくはそらをみおろし
ぎんがのうずの
ぱちぱちを
ごくりのみくめ


あのこはいまごろ

かみをぶぉぉ


にじゅうごまんごせんろっぴゃくふん

いまを

あのこにささぐ

よっぱらいの

らぶそんぐ


ちにあしのつかぬ

らぶさんぐ

しんぐ らぶ